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Atacama Crossing 2014atacama crossing 2014

アタカマ砂漠マラソン報告


2014年10月5日〜11日
アタカマ砂漠マラソン(Atacama Crossing)に出場してまいりました。

アタカマ砂漠マラソンは、前回のゴビ砂漠マラソンに続き、2度目の砂漠レースとなります。(砂漠マラソンの紹介・ゴビ砂漠レース結果についてはこちらをご覧ください↓
http://kindai-rikujo-ob.com/kindaiac/GobiMarch2014.html

アタカマ砂漠は、南米の中部に広がっており、世界で最も乾燥している砂漠であります。レースはその一部分である、チリ北部で行われました。
そこは、「気温5〜45℃」、「標高2,400〜3,200m」、「湿度5%」という過酷な環境でした。
 
参加者は世界中より165名。その内日本人が7名で、僕は日本人最年少。
前回のゴビでの順位は、ちょうど真ん中あたり(52位/112人中)でしたので、今回はより上位を狙うことを目標としました。
そのために、悪路に対応できる世界最高クッション性であるHOKAシューズ、寒さ対策としての防寒具、弱った身体でも食べられるフードを準備するなど、改善を施してレースに臨みました。

1日目


レース初日。5時に起床をすると、空には満天の星空が広がっていた。標高は3,200mを超えており、高山病による頭痛があるも、素晴らしい景色への感動と、スタート前の興奮でいっぱいだった。

朝8時、全員一斉にスタート。高山病にかかってしまっていることもあり、翌日に支障をきたさないよう、無理をせずゆっくりと走っていく。

だが、そこは3,200m。ゆっくりとはいえ、10kgのリュックを背負いながら高所を走ると、すぐに息が上がり、頭痛が激しくなる。
そして、暑い気温。日が昇るとあっという間に温度は上昇し、45℃近くになってくる。
さらに、焦げるような日差し。全くと言っていいほど雲は無く、日中は永遠と日を浴び続ける。

そんな中、20km(スタートから4時間)を過ぎ、長い上り坂にさしかかった。それから1時間がすぎ、2時間がすぎ、進んでも進んでも終わりが見えない。
ますます頭痛は激しくなり、吐き気をもよおし、食欲は全くない。水を飲むが、次第に水さえもうけつけなくなってくる。
意識が遠のき、もうだめだと休憩をとろうとする。だが、日影が無い。
そのままふらつきながら日影を探し、ようやく腰を下ろすことができた。
日が当らない分暑さがましだが、それでも暑い。朝から何も食べれずエネルギーは切れ、水分のみでフラフラになりながらも、何とかゴールまで辿り着いた。36km。6時間25分だった。
その後も、高山病のために横になることもできず、夜まで耐え忍ぶしかなかった。

2日目


2日目、幸いにも体調はずいぶん回復(順応)しており、朝から食事をとることができた。今日は素晴らしい快晴の中を、45kmだ。 

途中、雪解け水が流れる川を下っていく。水温が低いため、冷たさを通り越して足が痛くなるが、こういったアドベンチャー要素のあるコースはすごくテンションが上がってくる。

その後、下り坂を駆けおりていくが、がれきを踏み外してしまい。左足首を挫いてしまう。その瞬間、”グキッ”と、体内で嫌な音がなる。骨は折れていないか?進むことはできるか?とすごく心配になったが、大きな問題ではなさそうでほっとした。

この日も高温になり、熱中症になりながらも、無事にゴールに辿り着くことができた。8時間20分。
この日のキャンプは塩湖のほとりで、素敵な景色を眺めながらリフレッシュをして過ごした。

3日目


3日目、41km。
塩湖が枯れた後の硬い凸凹道の上を、前の選手に連なりながら、遥か先まで走っていく。
徐々に環境には慣れてきて、水分の摂り方や身体を冷やす水の使い方など、自分なりの対応の仕方も学んできた。
また選手同士のコミュニケーションも増えてきて、少しずつ良い状態がつくれてきた。


レース中の楽しみのために、日本からわざわざ用意してきたチョコ。
今日はレース中のエネルギー補給として、食べようとしたその時!
チョコが熱さで溶けて、包み紙もろともぐちゃぐちゃに、、、
残念、、、気を取り直して、進んでいく。

3日目を8時間17分にてゴール。
後半は砂場が多く、シューズに砂が入ったまま走ることになった。それもあってか、小さかったマメがゴールした時には大きくなってしまっていた。
最後まで何とか持ちこたえてくれと願いながら、キャンプで自己治療を施した。

4日目


4日目、41km。
韓国のソンくんと一緒に序盤を走っていく。その道中、ソンくんから“君の名前の「雄夫」は何ていう意味?”と聞かれたが、上手く答えることができなかった。
自分のアイデンティティを持てていないことが、すごく悔しく、すごく恥ずかしい出来事だった。世界で戦うためにも、自分というひとり人間として、日本人として、誇りをもっていきたいと強く思う。

その後一本道を進んでいく。もちろん砂漠にこんな道はあるはずは無く、レースに出場している選手達が、一歩一歩踏みしめてつくりあげた道。
その轍の上を、また後ろの選手達が通って行く。

後半にペースが落ちてしまい、今日のステージは9時間4分。
日に日に身体は痛みだし、マメもひどくなり、極度の乾燥によって鼻が切れて出血しだしてくる。なぜか唇は2倍に腫れて、疲れすぎて睡眠が浅くなり、様々な個所で異常をきたしだしてきた。

だが、レースはあと少し。一番の山場である明日をどう乗り越えるか。
そのことだけを考えて、とにかく精一杯。

5日目


5日目、レース最長の78km。今日も突き抜けるような快晴。
これまでの4日間で身体はボロボロだが、この環境を楽しんでいこう。今まで通りにいければ、たった16時間のことだ。と自分を言い聞かせる。

だがやはり、日中は異常なほどに熱い。
そしてこの絶景も、走っていると地獄にしか見えない。
足のマメは幾つもでき、特に右足の小指がひどい。最初は裏側のみだったが、徐々に大きくなり、今や小指全体まで大きくなってしまっている。この状態で歩くと、皮膚がずれて、爪が剥がれるかのように痛い。

でも仕方ない。痛いなんて当たり前。
すべきことは、その痛みに耐えて進み続けることだけ。
満たされないものを嘆くのではなく、今あるもので何ができるか。だけ。

夜になって日が沈み、真っ暗闇の中、砂漠をひとり。
足をひきづりながらも歩き続け、ようやくゴール。15時間39分。
長い一日が終わり、ゴールとともに泥のように眠りについた。

最終日


最終日、9km。
これまでの7日間は最悪に辛かった。高山病、熱中症、脱水症状、極度の乾燥、身体の痛み、自分自身との葛藤。数えきれないほどにいろんなことがあった。

でも、多くの人のお陰で走り続けることができた。
一緒に走ったメンバー、テントメイト、ボランティア、スタッフ。
支援してくださった方々、応援してくださった方々。
周りの方々に助けられて、ここまでくることができた。

挑戦をするたび、
いつも応援をしてくださり、すごく勇気をもらえる。
サポートをしてくださり、すごく力をもらえる。
どれだけ辛くても、どれだけ苦しくても、
こうして自分の目標に向かって走っていけることは、
ほんとうに、ほんとうに、幸せ。

みなさんのお陰で、ゴールをすることができました!
ありがとうございました!!
これからも、まだ見ぬ先に向けて走り続けていきます。

<レース結果>
48時間48分20秒
第64位

レース映像

ドキュメンタリー映像をつくっていただきました!!
大自然の地球、世界の選手達の姿、レースの様子など、
存分に楽しんでいただけると思います。
よろしければ、ぜひご覧ください。

<北田雄夫 アタカマ砂漠マラソン2014>

  <世界大会予定>
2014年 6月 アジア ゴビ砂漠マラソン(完走)
http://kindai-rikujo-ob.com/kindaiac/GobiMarch2014.html
2014年10月 南米 アタカマ砂漠マラソン(完走)
2015年 5月 ベトナム ジャングルマラソン
2016年 3月 アフリカ サハラ砂漠マラソン
2016年11月 南極マラソン
※ゴビ砂漠、アタカマ砂漠、サハラ砂漠、南極の4マラソンを総称して、世界4大砂漠マラソンと言われており、その4つ達成を目指しております。

<メッセージ>
近畿大学代表として、日本代表として、精一杯走ります。
そして人が“元気や勇気”を持てるような、きっかけをつくっていきたい。
みなさま、引き続き応援のほど、どうぞよろしくお願い致します。
H18年卒 北田雄夫

<自己紹介>
1984年、大阪堺市生まれ。
近畿大学陸上競技部に入部後、選手として主将として日本選手権4×400mR 銅メダルへと貢献。
翌年の日本選手権で優勝を狙うも、オーダーミスにより日本一の夢は途絶える。
その悔しさをバネに、心機一転短距離から長距離に転向。3年をかけて国内頂点のトライアスロンレースIRONMAN(swim 3.8km, bike 180km, run42.2km)を完走。
その後世界に目を向け、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ5,895mに登頂し、2014年6月にはゴビ砂漠マラソン7日間250kmを完走。
10月の南米アタカマ砂漠マラソン7日間250kmでは、日本人トップにてゴールを果たす。
2016年まで2年をかけて、世界4大砂漠マラソン(ゴビ砂漠、アタカマ砂漠、サハラ砂漠、南極)、ジャングルマラソンの走破を目指していく。


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